「カッコいい洋服のお話」です。
芸術でもなんでもそうだが、「複雑なもの」を人間は好むようになっている。
では「カッコいいとは何か?」
これを構成する複雑性をご紹介。
◾︎複雑性の基礎
1、サイズ感
身体に合っているかどうか?
もちろん基礎は「スーツ」。
バッチリ採寸で作られる。
ちなみに、マッチョなら「真っ裸が一番カッコいい」。
しかしながら、人間「マッチョじゃない人の方が多い」。
んで、どう「マッチョみたいに綺麗に見せるか?」ってんで出来たのが「服」。
服飾のモデルが「ずんぐりふくよかな超絶美人」とか「超絶マッチョのスーパーイケメン」ってないだろ?
*ショーのランウェイモデルの方。広告モデルは別。
「人間が綺麗に見える服装」
ってのが基礎。
それを満たすために「サイズ感」ってのがいる。
2、色
「全身3色まで」
「モノトーン+1色」
「色の割合は6:3:1」
と言われる基礎がある。
*6:3:1の法則=6割(ベースカラー):3割(アソートカラー):1割(アクセントカラー)の面積比で組み合わせる法則。
75%:25%:5%が良いと言われることもある。
インテリア,グラフィック,ファッション,ウェブデザインなど様々な場面で応用できる基本となる法則。
要は「スーツ」
ベースカラーのグレーが6、ブラックが3、アクセントが0だとこうなる。
ロングコートでも似た形に出来る。
ロングコートが6、パンツが2、インナーが1の、小物が1。
さあ複雑性が増してきたな。
3、素材
ここでダメ押し。
スーツ系のサイズ感と色合いで素材を変えたらどうなるか?
こうなる。
柔らか。
基本的なスーツにはあまりない素材。
しかしながら「身体に合ったサイズ感」で作られて(着こなして)いる。
そして「色使い」。
ベースは紺、インナーのグレーに、アクセントのネッカチーフ&白いポケットチーフ。
狙ったポイントで作り上げられている事がお分かりになるだろう。
◾︎複雑性をシンプルに見せかけて表現出来る人
葛飾北斎や米津玄師タイプ。
俗に言う「よく見ると凄い」ってやつ。
なんせ葛飾北斎はコンパスで書いて(構図取りして)る。
http://nest-design.net/2012/02/25/hokusai-2/
米津玄師の凄さは「音の作り込み」と「表現解釈」。
楽器やってる人間からすると、リズムが気持ち悪い(合わない)部分が結構ある。
…んだが、トータルで見ると(楽曲で聴くと)それが正解であり、気持ち良く聴こえる。
あと、裏の音の作り込み方がヤベえ。
バンドは「楽器」っていう縛りがある。
ギター、ベース、ドラム、キーボードなどなど。
米津の楽曲は「縛りがない」。
米津の感性で「合うと思うもの」が当てはめられている。
それが気持ち良く聴こえる。
まさに現代の申し子。
非常に複雑なモノを「良いもの」にパッケージングして世の中に出す。
まさに「その人のオリジナル」。
⚫︎服飾は?
例えば「ラルディーニ」というメーカーがそう。
単なるチェックジャケットが…
https://renata-fashion.com/brandlist/
こういうデザインになる。
同じようなタイプで「アルマーニ」がある。
なぜかカッコいい。
それはアルマーニ氏の経験や好きなものから紡ぎ出される「それ」が、複雑性を帯びていながらも素敵なものだから。
◾︎なぜ人気なのか?
答えは簡単。
「その人にしか成し得ない複雑性があるから」。
独特の感性は「独自の解釈」から生まれる。
これは深く思考しないと分からない。
自分が好きなモノは何が素敵なのか?
どういう時に素晴らしいと感じるのか?
より気持ち良いモノはなにか?
今の時代、今の自分の感覚に合ったモノは何か?
自分のルーツは?
などなど。
その中で「独自のモノ」が生まれる。
例えば、米津玄師氏の楽曲で「灰色と青」という曲がある。
菅田将暉と一緒に歌っていることで有名になった曲。
このエピソードを紹介しよう。
まず僕は「キッズ・リターン」っていう映画がすごく好きで、ああいうものが作りたかったんです。高校生が自転車に2人乗りしてる場面から始まって、2人はかたやボクサー、かたやヤクザという別々の道に進む。そしてお互いダメになって、また元に戻って……という、その構図がすごく美しい映画で。「この映画のような音楽をいつか作れないかな」っていう思いがずっと頭の中にあったんです。
これが菅田将暉にバッチリハマって、公式ラブレターを書いたと。
*後述。
それプラス、CUTのインタビューで言っていたが…
「青」に色々な解釈があって。
例えば朝の空の「青」があるじゃないですか?
徹夜の飲み明けの気怠いテンションで見る「青」と、これから出かける…一日が始まる時に見る「青」がある。
こういう色々なモノが交差する「青」を、その瞬間を作りたいという思いがあった。
という感じの事を言っていた。
*かなりの意訳。もっと深い事を言ってた。
こういう「その瞬間の自分の感覚」と「それをどう表現するか?」という部分が「その人にしか出来ないから」芸術という。
◾︎芸術家は本来「人と関わっていく」
「灰色と青」が生まれたのは「菅田将暉がいたから」。
山本耀司も「女に成長させてもらった」と言っている。
*フランスで評価が高い日本人デザイナー。落合陽一が着ている服として知られる。独特な表現と情事を好むフランス人なので、かなり意訳要素があり。
一人で色々見て構成していくのは楽しいんだが、やはり「人がいてこそ」刺激を受ける。
オシャレになりたい理由は様々だが、メインは「コミュニケーション」。
モテたい、仲間内で流行ってる、その中でカッコいい事したい、などなどをしてる内にハマっていく。
「あいつカッコいい!ヤベえ!」ってのがあって、そこで始めて「なぜカッコいいのか?」に思い至る。
それを諦めずに解釈して表現していくやつがカッコ良くなっていく。
まだコラボの経験はないが、例えば「この人に似合うものは絶対これ!」っていう、米津玄師における菅田将暉みたいな人が出てきたら、それは素晴らしいモノが生まれるだろう。
そういう関係性は「他人と関わる事でしか味わえない」。
米津氏曰く「この瞬間のために生まれてきたと思える時がある」。
菅田将暉宛のラブレターの一節なんだが、こういう「誰かと想いが通じる瞬間」は、まさに「人がいてこそ」。
それは異性とかもしれないし、同性の友人と騒いでるときかもしれないし、今回みたいに遠い誰かかもしれない。
発信して、受けて、感じて、打ち返して、また反応をもらって…そんな尊いやりとりがある。
表現者は「表に出てこそ真価を発揮する」。
◾︎まとめ
複雑性を「誰が見ても分かる形」に解釈し直す事。
それが「その人にしか出来ないモノ」であるほどに価値が高まる。
最近、明らかに芸術系の人に「お前も芸術系だよ」って言われるまで、自分が芸術系だという自覚がなかった筆者がまとめました。
自分独自のモノを作り上げていきましょう。
楽しい事を独自の解釈で突き詰めていって、皆んなと絡んでいきましょう♪