ストリートファイターやギルティギアの最新作が発売され、KOF最新作が発表された今こそ振り返りの時!
この3作がまさに歴史を作ってきたタイトルです。
詳細な考察は、どこかの素晴らしいサイトを見てもらうとしてw
ここでは3期に分け、さらにこの3作に絞って、簡易的に振り返れるようにまとめます。
■骨子
成長期、絶頂期、停滞期(今)で分けます。
では、詳細を。
●成長期
成長期に属する作品は…
カプコンは「ストリートファイター2ターボ〜zero3」
SNKは「KOF94〜01」
アークシステムワークスは「ギルティギア〜イグゼクス」
です。
最初に書いた作品は操作感が非常に新しいモノで、ただボタンを押すだけで楽しく遊べました。
遊ぶための場所も、駄菓子屋、街のデパート内のゲームセンター、専用ゲームセンターと色々な場所で遊ぶ事ができました。
ユーザーも住み分けがされ、上手い廃人ゲーマーは繁華街のデカいゲームセンターへ、子供やライトユーザーはデパートや駄菓子屋へ別れていて、誰でも楽しく遊べる環境でした。
…とは言え、対戦後に灰皿が飛んだり、台パン(台を叩く事)や台蹴りといった行為が一番浸透していたのもこの頃ですw
特に(上には書いていませんが)鉄拳シリーズがローカルルールが多く、それを知らずに(もしくは意図的に)使って、怒号やリアルファイトとなる事例が多発していました。
それが収まったのは「韓国勢との公式対戦で大敗を喫したから(02年)」。
ローカルルールの押し付け合いでの縛りプレイが常態化した結果、全てを取り入れて発展していた韓国勢に文字通り「大敗」。
目を覆いたくなるような、見るも無惨な大敗を喫した。
その結果「ローカルルールとか言ってる場合じゃねえ」と日本全体で認識を共有し、このルールは自然になくなっていきました。
…話を戻しますw
動画どころかインターネットすら一般的ではなかったこの時代。
他の人の動画や立ち回りを見る機会は「直で見る」しかなく、知りたければゲームセンターに行って上手い人のプレイを見るか、雑誌で知識として入れて、実戦で試すしかありませんでした。
構図としては、上級者10%、中級者40%、初心者50%といった所でした。
そして件の通り動画はないので、中級者のレベルもさほど高いモノではなく、遊んでる内に追いつけるくらいのレベルでした。
そして、後半のタイトル(zero3、KOF01、イグゼクス)に向かっていくにつれて、ユーザーのレベルが上がると同時に「ゲームシステムも複雑なモノ」になっていきます。
要するに「コンボ」です。
難しい高火力なコンボを決めて試合を勝負づける様はエキサイティングで、これは現在のEVOを見ていただいても分かる、醍醐味の一つです。
この「難易度を上げる」という方向…すなわち、上手い人しかできないが、非常にエキサイティングという方向…に進化していき、次の絶頂期のタイトル達が一時代の完成=すなわち格ゲーの完成系となります。
●絶頂期
KOF2002
ギルティギア#リロード(青リロ)
です。
ゲームシステム、難易度、グラフィック…全てにおいて、ここが一つの完成系です。
キャラクター全体のゲームバランスは必ずしも良いとは言えないタイトル達なのですが、逆に全員のキャラバランスを考慮しないからこそ可能な、尖ったシステムが秀逸です。
では具体的に…
●ストリートファイター3
有名な「ブロッキング」。
気になった方は…
これをご覧ください。
簡単に説明すると「相手の攻撃に合わせてタイミング良く(0.1秒)前を押すと、特殊なエフェクトが出て自分が有利になる」というモノです。
そして必殺技には「削り(ガードしても体力が少し減る)」というシステムがあるため、上の動画では「ブロッキング以外が許されない状況」です。
そんなミスが許されない場面で連続して成功させているので、伝説的場面という訳です。
このシステムの秀逸な所は、より「人間力」が重要になった事です。
立ち回りの「癖」が分かれば、そこに入力しておく(仕込む、置いておく、と言う)事により、一方的な攻めが可能になります。
上の動画で、中間距離で小刻みに動いているのはその辺りが理由です。
それを読んで逆、さらにそれを逆手に取って〜等、気持ち悪くなる程の「濃い」読み合いが可能なのはこのタイトルだけで、その意味でも唯一無二なタイトルです。
●KOF2002
独自システムは、「どこでもキャンセル」です。
zero3にも同様の「オリジナルコンボ」というのがありました。
違いは、「難易度」そして、「ダメージ量」です。
比較的、簡単なコンボを繋いでそこそこのダメージ(約40%)をとるzero3は、バランスを見ても素晴らしいモノでした。
しかしながら、非常に難しいが、派手で見栄えのするコンボを繋いで試合を決めてしまえる(約70%〜即死)KOF2002はロマンの塊であり、見ていても心躍る…すなわち、練習してでもやってみたくなる魅力に溢れていました。
こちらも興味があれば、「KOF2002 即死コンボ」で検索してみて下さい。
「空中ダッシュのないゲーム」で、派手で爽快なコンボを決めたければこれ一択と言って良い程のタイトルでした。
*UMではありません。無印です。
●ギルティギア#リロード
難易度最高峰。
他にはない独自システム満載で、まさに「このタイトルでしか味わえない」という色を出していたタイトルです。
いわゆる「空中ダッシュがあるゲーム」と言えば、このタイトル。
空中コンボこそ、カプコンの「XーMANシリーズ」、同じく「ジャスティス学園」にあったとは言え、他のシステムはオリジナルのモノでした。
オリジナルシステムは…
1、「青キャン」*正式名は「フォースロマンキャンセル」。ゲージ25%消費。
特定の技後の「特定の2フレーム以内」にボタンを3つ押すと、硬直がキャンセルされるというモノです。
平たく言うと、これが出来ると有利に立ち回れたり、コンボダメージが伸ばせたりというモノです。
見た目のエフェクトもカッコ良く、ボタンをリズミカルに押して次へ、という気持ち良さも相まって、練習してでも出来るようにしたいと思わされるモノでした。
2、「赤キャン」*正式名は「ロマンキャンセル」。ゲージ50%消費。
これの使い方は、まさにロマン。
センスが問われまくり。
突発で発生したコンボを伸ばしても良いし、緊急の隙消しなど、多岐にわたる使い方があります。
具体的にこう使用するという「テンプレート」が絞りきれ無いほどプレイヤーに馴染んだシステムであり、使う人のセンスが問われる良システムです。
他にも、2段ジャンプ、低空ダッシュによる自由度高いシステムのまとまりは随一。
キャラクターも、ダッシュはないが超火力な打撃&投げキャラ、本体と分身と2キャラ操作で難易度が高いが強いキャラなど尖ったキャラクターが多く、それも魅力です。
何やってるか分からないかと思いますが、上記したのは全部使ってます。
3タイトルとも上に書いた通り、キャラクターバランスは完璧とは言い難いですが、今書いてきたシステムを上手く使う事により、弱キャラでもそこそこ戦えました。
というより、弱キャラという事を逆手に取り、そのキャラで強キャラを倒す事にロマンを感じる人達によって研究されたのです。
スト2時代からあった「飛ばせて落とす」「中間距離牽制」「コンボ」の「各種精度」を突き詰めて勝つ方向に向かい、一気にレベルが上がりました。
しかしながら、ここが一番ユーザーが多い時代でした。
奇しくもインターネット普及段階に入り、動画で新たなコンボや立ち回りを発見しゲームセンターで遊ぶという事が可能になった事もあって、飛躍的に攻略スピードが上がりました。
その結果、初心者が遊ぶと「何も出来ずにボコボコにされる」という状況になります。
そして、停滞期に入ります。
■停滞期〜成熟期
上の3つ〜最新作。
ユーザーのレベルが上がり、ネット動画普及で攻略スピードも上がり、ゲームセンターでは中級者以上のみ、オン対戦でも先駆者が跋扈し、一時期は「完全なる停滞期に突入」しました。
この頃の「中級者」は中〜上級者と言うべきレベルの人です。
と言うのも、動画によって簡単に色々見れるようになった結果、「最大コンボが出来る事」そして、「立ち回りの知識がある事」が対戦する上での最低条件になってしまったのです。
立ち回りの知識とは、対空、牽制、崩し等の「基本的な型」のようなモノです。
格ゲーである以上、タイトルを跨いでも共通で使える「経験」は存在します。
それを一度覚えてしまった人と、覚えていない人との差が埋まらなくなってしまったのです。
本来は「面白そうだから触ってみる→ハマる」という順序だったはずの格ゲーが、基礎知識が求められる程に難易度が上がったのです。
実際に筆者も今やるなら、基礎コンボと最大コンボは調べて、家庭用があるなら練習してから行く程度の事前準備をして、ゲームセンターに行くでしょう。
そんな状況が続いた結果、07年くらいに格ゲーは「終わった」と言っていい状況になります。
そこで格ゲーを救うきっかけになったのが「オンライン対戦」です。
ストリートファイター4が一番分かりやすいので、これを引き合いに出します。
ストリートファイターの最新作という事で、スト2世代…すなわち、30〜40代のゲーマーの復帰を促しました。
そして、ウメハラを始めとするストリートファイターコミュニティによる動画配信(主にGOD Garden)によって、ニコ動を中心とした20代が流入し、様々な世代がまた格ゲーに触り始めました。
この二つの効果によりライトユーザーが大量に入ったため、ピラミッド構成が適切な形に戻りました。つまり「知らなくても楽しめる環境に戻った」のです。
さらに環境面の進化がありました。
大きく分けて2つ。
1、ゲームセンターに行かなくても出来る=オンライン対戦という進化。
2、適切なレーティングによる、ユーザーの対戦環境の整備。
です。
特に後者…適切な対戦環境は重要でした。
と言うのも、格ゲーの醍醐味というのは「同じくらいのレベルの人」と対戦した時に感じられるモノだからです。
「あと1手ここでこうしていれば!」というヒリついた状況での対戦が最も面白いのです。
それがオンライン対戦によって同じレベルの人を探しやすくなり、楽しい環境となったのです。
新しい世代の獲得=幅広い人に楽しめる環境の整備をし、全てのユーザーが満足できる環境の提供こそが、これからの格ゲーの未来を決めていくでしょう。
■オンライン対戦の問題点
環境面では「ゲームセンター」という文化は…特に格ゲーにおいては、役割を果たし終えました。
既存の最高峰のプレイヤーが集まる「聖地」的なゲームセンターは残るとしても、普通のプレイヤーはゲームセンターに行って対戦するより、家庭用で友達同士で対戦、もしくは、オンラインで対戦する方が、便利かつ楽しく対戦出来ます。
では、オンラインの対戦環境が問題ないかと言うと、あと一歩です。
細かい所を言うと、サブ垢を用いてレーティングシステムを悪用した初心者狩りや、レーティングの適切な上げ下げといった部分がまだ満足できるモノではありません。
少しレーティングが上がったらすぐ勝てない相手ばかり引き当てられたり、フリーマッチング部屋を自分で立てても上手い人に荒らされるなど、「楽しく遊ぶための仕組み作り」が遅れています。
ストリートファイターシリーズはメイン顧客が米国なので、家庭用発売とゲームセンター稼働が同時で、オンライン対戦に力を入れています。
*「ゲームセンター」というシステムは、国土の比較的狭い日本や韓国では人が集まれるが、米国のように広い国土では人口密度が低く人が集まらない。なので、オンライン対戦の文化が成熟している。
しかしながら、カプコンはオンライン系統は非常に期待できない(ドグマやモンハンF)前科があり、力を入れている割には一向に改善されていません。
ここは改革の歴史があるアークシステムワークスに期待したいです。
◾️これから
「プロスポーツのようになる」。
完全にプロが独立した結果「競技性が高すぎる」状態になった。
競技性が高い=技術や努力が反映される=ちょっとやっただけじゃ勝てない、という事です。
要するに「遊びでやる=勝ち負けを気にしないで楽しむ」。
「プロでやる=結果を出す必要がある=技術を極める努力をする必要がある」。
草野球や普通の部活動を遊びでやるのと、甲子園を狙ってるチームでやるのとの違いに近い。
「遊びが上手い人=プロ」だった前半と違い、「結果を出せる人=プロ」の図式となり、求められるものが明確に変わった。
◾️競技性が高い≒誰もが楽しい
知っての通り、野球やバスケなどの球技は「まっさらの素人からやるにはハードルが超高い」。
子供の頃に親父と一緒にやったことあるとか、子供の頃に近所の友人達と遊びで触ったことがあるとかの「何らかの形で幼少期にやったことがある」という経験がないと、社会人以上でいきなり新しいスポーツを始めるという事はほとんどない。
今の格ゲーも「これと似たような状況にある」。
何らかの形で「子供の頃触ったことある」とか「友達に誘われた」とかがないと、触っても難しすぎて全然楽しくない。
この辺のバランスが非常に難しい。
個人的には「初心者でも楽しい運要素の強い格ゲー」と「プロ向けの競技性の高い格ゲー」で、棲み分けた方がいいのではないか?と思います。
■まとめ
格ゲーの歴史は…
ユーザー、ゲームメーカーの成長→高難易度化→ユーザー離れ→現在に至る、です。
そして、オンライン化によりようやく対策の目が出てきた事、そしてトッププレイヤーは職業として成り立つ(かもしれない)状況になった事により、息を吹き返し始めました。
1ジャンルとして確立された「格闘ゲーム」。
レベルに合った楽しみを提供出来る環境作りが今問われています。
最後に…ゲームとしての格ゲーは非常に面白いので、気になったタイトルがあった方はぜひ触れてみていただけたらと思います!
ありがとうございました♪