成人式だけを考えるのであれば「煌びやかなスーツ」が目立つし、欲しいと思うだろう。
しかしながら、当然「ビジネスでは使えない」。
ビジネスには「ビジネスの着こなしルール」がある。
これをいわゆる「フォーマル」という。
その「ルールを知っている事を示す必要がある」のが「人と会う場(取引や営業や面接など)」。
この時にルールから逸脱していると「ルールを守れない人or知らない人」という印象を与えてしまう。
新卒、第二新卒であれば、かろうじて許されるかもしれない。
…が、就職2年目以降であれば「会社の教育が悪い、ちゃんとしてない会社の人」という印象を与えかねない。
せっかくスーツを購入するのであれば「正しい着こなしを知っていても損をしない」だろう、という事で1記事。
▪︎ビジネス(フォーマル)で用いられる「スーツ」と「ネクタイ」
1、ビジネスで使えるスーツは「濃紺」か「ダークグレー」のみ
正式な場で認められるスーツは「紺」か「ダークグレー」のみ。
日本で言うと「着物」がこれに当たる。
*男性の場合
こちらがビジネスにちょうどマッチする。
黒スーツは「礼装用」。
日本で言う所の「紋付袴」。
これは要するに「冠婚葬祭で使用する色」であり、ビジネスの場には不釣り合いなので使わないのがマナー。
逆に、それ以外のカラー(ブラウンやオリーブ、ライトグレーなど)は「ビジ「カジ」用」。
*ビジカジ=ビジネスカジュアル。
日本で例えると「浴衣」に当たるモノ」。
お茶や俳句の場に出る、もしくは藤井聡太さんで有名な将棋などの極めて日本的な場には「着物を着る」。
*名家のお茶会や将棋のタイトル戦などは礼装の袴を着るのが通例ではある。
お茶会に浴衣を着ていく人はいないし、それは非常に「失礼に当たる」。
ビジネスもこれと一緒。
ビジネスにカジュアルで望むという事は「とても失礼に当たる」。
逆に、礼装でキメキメでも、場にあっていないため失礼に当たる。
先方に失礼のないようなちょうどいい装い=ビジネススーツで出席する必要がある。
伝統的な職種だとライトグレーですら訝しがられかねないレベルなので、「濃紺orダークグレーのみ」と言った方が整理されて分かりやすくなると思う。
特に昨今は「紺は古臭く」「ダークグレーはおっさんぽい」という理由から、それ以外の色が選ばれがちである。
しかしながら、ビジネスにおいての正式な色は「その二つ」。
「カッコいいから」だけで選ぶと、「若者が遊びの来たと思われる」ので、ご注意下さい。
2、ネクタイは「紺」の「無地」で「シルク素材」
ビジネスで使えるネクタイは「無地の紺」が使いやすい。
ネクタイは…
ネクタイの選び方【最適なネクタイを選ぶ5つの視点】 | メンズファッションメディア OTOKOMAE / 男前研究所
*フォーマル度が高い方がビジネス用。
一般的に「シルバー」のタイが礼装用として使用される最もフォーマルなものとされており、そこから「無地」→「ドット」→「小紋柄」→「ストライプ」→「チェック」の順でカジュアルな印象へと変化する。
*男前研究所様より引用
という順にフォーマル度が高く、フォーマル度が高い=ビジネス向きとなる。
最もフォーマル度が高いのはシルバー。
しかしながら、シルバーのネクタイは完全礼装用でフォーマル度が高すぎる。
今だと「結婚式の新郎か親レベル」でしか使わない。
なので、ビジネスではその下の「無地のネクタイ」がビジネスとして用いられる。
しかしながら「白」と「黒」はよろしくない。
というのも「白=結婚式」「黒=御葬式」なので、基本的にその2色は使わない。
さらに、派手カラーは私服っぽい=カジュアル度が上がってしまうため、保守的な職種ではあまりいい印象にはならない。
結果的に「無地の紺ネクタイ」がベターとなる。
ちなみに紺ネクタイは「紺スーツともダークグレースーツとも相性が良い」。
組み合わせ的な意味でも、マナー的な意味でも、これを選んでおけば就職してからも使える。
3、スーツの素材は「ウール」が望ましい
正式な素材は「ウール」。
いわゆる「super100以上」の素材を指す。
superとは、国際羊毛繊維機構(IWTO)とウールマークカンパニーという会社が発表したラベリングシステム。
ウールの糸の細かさを示す指標であり、数字が上がるほど細い糸という事を示す。
スーツというのは糸が細いほど光沢が出て綺麗に見える=番手が上がるほど綺麗に見える。
要するに、高級スーツというのは「全てウール」。
UNIQLOでも、安いライン(6990円)の感動ジャケットシリーズは「化学繊維」。
コンフォート2Bジャケットは「化学繊維+綿」となっている。
…が、高級ラインのストレッチウールジャケット(17800円)は「ウール」。
実はこの中で「正式なスーツ」として認められるのは「ストレッチウールのみ」。
基本的に「スーツ=super=ウール」という図式なので、覚えておいて損はない。
▪︎他の細かいサイズやら
説明すると長くなる&アオキや青山やらの紳士服店で訊けばわかるため、画像だけ貼る。
1、シャツのサイズ感
2、ジャケット+パンツのサイズ感
3、基本の色合わせ
これらが基本となる。
詳しいサイズ選びはこのブログにもあるし、読むのが面倒なら上記の通り「アオキや青山などの紳士服店に行くと教えてもらえる」。
教えてもらえるというか「フィッティングしてくれる」。
何も知らなくても「行けばやってくれる」。
なので、紳士服を買うなら紳士服店に行くと良い。
*ネクタイやスーツの色に関しては「知らない人もいる(日本の常識しか知らない)」ため、覚えておいた方が良い。
▪︎成人式のよくあるQ&A
1、黒スーツが普通じゃない?
上にも書いたが、本来は黒スーツというのは「イブニング用」、つまり「仕事後の遊び用」。
なので、厳密には「職場に着ていく色じゃない」。
黒が多数派になっている新卒、第二新卒時は問題なく使える。
…が、ちゃんと就職した後で、取引先に黒スーツで行ったら「は?」と思われる事も少なからず存在する。
しかもそれがポリエステルだったりして安物感全開だった場合、「あの会社の教育どうなってんの?」とすら思われかねないため、書い直しは必須。
であれば、予め対応のスーツを選んでおく方がムダがないと言える。
2、カラースーツ(明るい色のスーツ)がカッコいいから欲しいんだけど…
こちらも「カジュアルダウン用」。
要するに、紺やダークグレースーツに「飽きたから着る」という使用がメイン。
つまり「社外の人と会う服装じゃない」。
なので「正式な場」には「着て行かない」のがマナー。
こちらも黒スーツと同様に「あいつの教育どうなってんだ?」と思われかねないため、結局買い直す事になる。
3、柄物ネクタイの方が差し色入ってカッコいい
スーツは2色コーデが基本なので、差し色が欲しくなる場合が多い。
しかしながら、「スカーフ以外の差し色」というのは「カジュアルダウン」に当たる。
カジュアル「ダウン」。
つまり「カジュアルに下げてくる」という意味。
「フォーマルで必要とされる着こなしではない」。
どうしてもオシャレ演出がしたいのであれば「スカーフで行う」。
スカーフの差し色であれば問題ない。
…が、一応は白のリネンスカーフが、最も基本だったりはする。
色が欲しい場合は、スーツとネクタイで差し色をすると正式な着こなしからズレるため非推奨。
▪︎袴なら全て解決
成人式を日本が誇る正式礼装「袴」で行くのは、とても素晴らしい選択肢。
*レンタルでも購入しても良い。
今現在「成人式くらいしか着る機会がない」ため、変な話だが「ここで着ないと一生着ないかもしれない」。
変な即席スーツで雑に成人式に出るよりも、ガッチリ決めて一生に一回の大舞台を完璧な服装でやり遂げてくるのがオススメ。
▪︎成人式は「親孝行要素が強い」
自分自身は「あ〜20歳になったな〜」くらいの感想しかない。
「酒が飲める」「クレカが作れる」など「色々解禁される」くらいで、あまり感慨深いモノもないだろう。
しかしながら「周りは違う」。
貴方が熱を出せば命の心配をし、怪我をすれば後遺症が残らないか心配をし、飯を作り、掃除をし、幾多の心労を経てここに辿り着いている。
その間「20年」である。
貴方は20年しか生きていないから想像もつかないだろう。
貴方の20年分、丸々苦楽を共にし、努力をした思い出の「一区切り」が成人式なのである。
こっからは「親の手を離れて独自で歩き出す」という節目の場でもあり、貴方を祝う場であると同時に「親のための式」でもある。
その辺りを意識して行ってもらえると幸いです。
▪︎まとめ
就職してからも使えるスーツは「紺」か「ダークグレー」。
素材は「super(ウール)」。
ネクタイは「紺」の「シルク素材」です。
今一般的になっている「黒スーツ」は、就活までは使えます。
しかしながら「就職したら使えない」です。
黒スーツやカラースーツは「浴衣」です。
着物の場に浴衣で行くようなもんです。
ですので、就職したら買い替え必須です。
いっそのこと成人式は「袴で行く」のは非常に良い選択肢です。
*スーツは就活前にちゃんとリサーチして買う。
そして成人式というのは、貴方を祝う場であると同時に「両親の一区切りの場」でもあります。
貴方が想像もつかない「20年という時間」の一区切りです。
*大体10歳くらいからの記憶しかハッキリしないため、いいとこ10年くらいしか想像がつかないはず。
これはそんな軽い時間ではなく、貴方の想像よりも遥かに重く大事な時間です。
成人式は「それの一区切りがつく場」です。
あまり軽く考えず、しっかり向き合って、いい時間にして頂ければと思います。
ご成人の皆様、誠におめでとう御座います。
良き未来へ向かって、良い経験と良い知識が得られるよう願っています。