FORZAを納車して100km程走ったので、ど初期の感触をレビュー。
*前車NMAXとの比較多めです。
▪︎箇条書き
1、安定感ヤバい
2、サスの入力が滑らか
NMAXだと車体がヨレてた場所で、全く問題なく通過した。
3、謎の安心感あり
4、シートが硬い
サスペンションが非常に滑らかに動作しているため、完全にシートが硬い。
5、シートの前の方に座るとケツ痛い
所謂「ベスポジ」がある程度決められている。
そこから外れる場所に座ると変な所に負荷が集中したり、ウレタンが少なかったりする。
*ベスポジ=シートバックに腰が当たる場所。
6、コンパクトなポジションで収まりがいい
NMAXは車体の割に大柄で、どこに座ってもポジションが決まらない感じがあるが、FORZAはビシッと「ここ」というポイントがあって非常にコンパクト。
車体はデカいんだけど、走ってる時の大きさの感覚はNMAXとほとんど変わらない。
▪︎よく言われるやつへの解答
1、遅い
遅いと「感じる」のが正解。
まずサスペンションが超安定してるため、姿勢変化が凄く少ない。
さらに、出足がマイルドに丸められている。
ドンツキの加速が全くなく、滑らかに加速する。
とにかく滑らかすぎるため「体感として」遅く感じるが、実際はけっこう速くて超快適。
ちなみにNMAXなんかは真逆で、加速時にドンツキがあり、アクセルを避ねると回転数が簡単に上がる。
要するに「アクセルに対してピーキーに反応する」。
この「加速してる感」が「速い気がする=面白い」と感じさせる要因。
FORZAは「敢えて遅く感じるようにしている」。
NMAXは「敢えて速く感じるようにしてる」。
この差がめっちゃ面白い。
2、ハンドリングが優等生
こちらも同じで、優等生に「感じる」。
まず「ビシッと一本筋が通ってる」。
「軸はここですよ〜」という明確な縦線が感じられる。
そして「動き出しがとてもスロー」。
ゆったりと動き始める。
「軸をしっかりと感じれる」のと「その軸が倒れるまでに時間がかかる」。
この合わせ技で、凄くゆったりと「ハッキリとした軸を描いて曲がっていく」。
ちなみに、この「軸通りに曲がる感覚」は非常に気持ち良く、イメージ通りに動いてくれる気持ち良さが存在する。
球技スポーツをやってる人なんかは「感覚的に理解できる」感じの、自然なハンドリングで、まさにパーフェクトトレース。
「ほぼ意思通りに曲がる」のに「尖りが全くないない感じ」が「優等生に感じる」。
ちなみにNMAXは真逆で、軸は少々曖昧で、凄くピーキーに動く。
それこそ段差で吹っ飛びそうになるくらいに。
軸が曖昧なので、いい意味で「どんな操作をしても曲がり始める」。
ホンダハンドリングは「軸を倒す感じ」で傾ける必要があるが、ヤマハハンドリングは「車体を倒す感じ」で曲がる。
受け皿が広いというか、どっからどんな倒し方をしても曲がる。
そして、凄くピーキー。
つまり「すぐに反応してくれる」。
「どんな倒し方をしても曲がる+反応が良い」ので「気持ち良い」。
そして、気持ち良いぶん「凄く疲れる」。
反応が良い=路面の影響を強く受けるため、乗っていて細かな修正をずっとしている必要がある。
ホンダのように敢えて鈍く作る事で「曲がりたい時には曲がる」、「曲がりたくない時はビシッと安定して走る」という挙動が可能になる。
ホンダハンドリングは「敢えてやってない」。
ヤマハハンドリングは「敢えてやってる」。
3、サスペンションの路面追従性ヤバすぎ
跳ねようが何しようが、路面の設置感がある。
NMAXは70kmで走ってるだけで飛んでいきそうな怖さがあるが、FORZAはどんなギャップを越えても安定してる。
サスペンションの伸び側の長さが足りないと「路面からタイヤが離れてコントロール不能になる」というのはスポーツ走行でよく言われる。
…が、まさかスクーターでそれを感じれるとは思わなんだ。
この路面追従性+車体の入力の鈍感さのおかげで、安心感と安定感が尋常じゃない。
スポーツ走行とは対極な感覚ではあるが、そこに使われてる技術は完全にスポーツ走行のモノ。
4、シートの硬さが外車
硬すぎ。
ウレタン云々とかじゃなくて、とにかく硬い。
ホンダが作って「これ」ということは、この硬さは「狙ってやってる」のだろう。
ゲルザブ必須級。
▪︎NMAXとの比較
1、安定性100%アップ
とにかくハンドルがブレない。
真っ直ぐ走ってるだけでも分かるし、カーブ中に段差を超えたら完璧に分かる。
NMAXの時は60km以上出すと怖さがあったが、FORZAは全くない。
安定性のレベルがNMAXとは全然違う。
2、トルク100%アップ
坂道でのアクセル開度がNMAXの半分。
まんま排気量分の差がある。
3、乗り心地50%アップ
サスペンションがレベチ。
路面追従性も、ストローク量も全然違うので、突き上げ感が激減。
さらに大きめの段差を超えても、飛び跳ねて怖いような感覚はほとんどない。
*NMAXはガンガン跳ねるので超怖いが、FORZAは安心して乗っていられる。
ただ「シートはめちゃくちゃ硬い」。
クルマのドイツ車などは硬めのシートにして長距離適性を高めているそうだが、その流れを汲んでいるっぽい。
にしてもシート硬すぎ。
NMAXの方が全然柔らかい。
サスペンションは最高なんだけど、シートが硬すぎる故に「少しだけ乗り心地が良くなった」という体感となる。
4、体感の車重30%アップ
重さはほとんど変わらない。
少し重くなったな〜くらい。
取り回しで苦戦する事もほぼない。
*坂道は注意
重さ以外は全て倍近く性能が違うのに、重さだけは30%アップで済んでるのは凄すぎる。
5、Uターンの感覚もほぼ同じ
少しだけ大きくなったが、めちゃくちゃ大回りしなきゃいけないというレベルではない。
NMAX+50cmくらい。
慣れてくれば、ほとんど同じ感覚で回せそう。
6、たまーに(週一以下)乗るならNMAXの方が楽しい
とにかく楽しい。
…が「3kmで飽きる」。
ゴールドウイングとハーレーでアメリカ横断を行くと、最初は皆んなハーレーに乗りたがるらしい。
理由は簡単で「面白い」から。
しかしながら、3日も経つと皆んなゴールドウイングに乗りたがるらしい。
理由は簡単「快適だから」。
これがまさにNMAXとFORZAにも当てはまる。
NMAXは「楽しい」けど「超疲れる」。
FORZAは「楽しさでは劣る」けど「超快適」。
バイクに乗るにあたり「楽しければ良い」のか?
それとも「辛い時でもラクな快適性が欲しいのか?」。
FORZAには「自分が疲れた時にこそ分かるホスピタリティ」が存在します。
▪︎現実的なバイクの最高峰
NMAXとほぼ同じ感覚で取り回しができ、ほぼ全ての性能が倍近く優秀。
正直、日常使いのバイクとして「最高峰」。
安心して乗っていられる走行性能と、街中で困る事のない車輌重量、車輌感覚、Uターン性能。
これ以上デカい、重いだと、普段使う気がなくなるという「絶妙なサイズ」。
ユニクロの最高峰というか、毎日気兼ねなく、何処へでも着ていけて、さらに格好もつくという感じ。
逆に、ロマン派(週一以下しか乗らない人)で、「バイクに非日常を求める人」は、別のを買った方がいいかもしれない。
▪︎両極端な技術を合わせた結果「普通になってる」感覚
「残酷すぎる成功法則」という本に書いてあった例えで言うと…
「頭を冷蔵庫に突っ込んで、足先をバーナーにかざしていれば、平均体温は正常だ」。
という感じ。
明らかにスポーツ走行も可能な性能のサスペンションが、しっかりと入れてある。
軸感にしてもそうだし、車体バランスにしても同じで、スポーツ走行に耐え得る車体構成。
そして、それを「利便性重視の重くデカい車体に搭載してる」。
さらに「快適性重視のセッティング(いい意味での鈍さ)になっている」。
ある種「意味不明」。
出来上がりを見ると、いつも通りの「優等生バイク」。
…なんだが、内容を見ていくと「明らかに特化型の技術を組み合わせてある」。
筑前煮みたいな感じで、各種食材に対してトップの技術で作って、それらを組み合わせて一皿として完成したという。
各パーツが超一流で、超一流の組み合わせで仕上げてあるからこその「普通」。
正直、頭おかしいと思う。
▪︎安定感と面白さはトレードオフっぽい
NMAXとFORZA。
2台乗り比べながら乗ってる感じ、ある種の「不安定さ=面白さ」と思われる節があった。
要するに「すぐに車体が反応する」のが面白さという事。
加速にしろ、ブレーキにしろ、カーブにしろ、とにかく速く反応してくれるのが面白い。
特に、軽い車体を振り回して乗る楽しさは「原点」とも言える楽しさ。
自分の入力に対してレスポンス良く反応してくれて、それが自分の予想通りの動きをしてくれる事によって「楽しい」と感じる。
逆に言うと、すぐに反応するという事は「入力に対して過敏に反応する=不安定」となる。
初期入力にはちょっと鈍く反応してくて、さらに入力した時にはしっかりと反応してくれる方が、乗っていて安心感があって疲れない。
そのちょうど良い塩梅なのがFORZA。
NMAXは楽しさに振り切ってるので、近い距離の通勤とか、週一以下で乗るよう人に向いてる。
面白いが疲れる。
快適だがつまらない。
そのバランスが何処か?というのが焦点になってくるのかもしれません。
▪︎「公道の序列が高い」という副次効果
NMAX125に乗ってる時は、煽られたり、幅寄せレベルで追い抜いていくクルマやバイクが多かった。
FORZAになって、ほとんど無くなった。
まず納車の時に実際に目にして思ったのが「デカい」。
しかもヨーロピアンなデザインなので「速そう」で、さらに「圧がある」。
いい意味で。
クルマから見た場合、「デカくて」「何かカッコいいデザインの」「ちょっと速そうな」バイクがいる、となるため、道を譲られる事が多くなった。
そして、125ccスクーター乗りから見た場合は「明らかに格上の250ccスクーター」で、しかも「最新型」となる。
通勤族は、種族的に仲間というか同類なため、スクーターに詳しく、基礎的な部分を共有している。
具体的に書くと「tmax560>FORZAとXMAX>他ビッグスクーター>PCX系>シグナス系>それ以外」という序列が明確で、それを共有している。
特に上3つに対する明確な性能差は誰しもが知る所で、スクーター乗りにとって「250cc以上のスクーター=格上」という認識がある。
そのため、普通に走ってると、明確に「格上扱いされる」。
「先行ってくれ」という道の譲られ方をしたり、後ろから抜かれる場合も、明確に余裕のある赤信号くらいでしか抜かれず、無理な追い越しをされる事は稀になった。
男性特有の序列感と、デカさと圧力で、公道での序列が明確に上がった。
これは「まったり走りたい人にとってのメリット」でもある。
*煽られたり、無理な追い越しをされたりしないので。
意外な副次効果としてのメリットがあったので、一応書いておきました。
▪︎まとめ
FORZA、頭おかしい。
普通=普通な技術というわけじゃなく、普通=スポーツの技術+快適性の技術で「結果的に普通にまとめてある」というだけだった。
ちょいちょい異常な部分が見え隠れしていて、特にサスペンション周りの作り込みは凄まじい。
PCXやNMAXとビッグスクーターとの比較で、車格しか触れてないようなレビューは大量にあるが、NMAXとFORZAの2台乗り比べてみた感じだと「明確な差がある」。
確かに面白さだけにフォーカスすれば「軽さ」と「反応」は非常に重要なファクターではある。
…が、大抵の場合は「快適さとトレードオフ」。
ある種の鈍さがあるからこそ安心して乗っていられる部分があり、それはFORZAに乗ると強烈に感じる。
価格差以上にキャラクターの違いがある。
「バイクは価格と面白さが比例しない」とはよく言われるが、面白さに関しては本当にそうだと思う。
ただし「快適性」は「値段」と「作り」にモロに跳ね返ってくる。
ホンダとBMWの「超えられない壁」がおそらくここにあるんだろうと思われる作り込みを感じさせてくれたFORZAでした。
しかしながら、数カ月乗ると感想も変わる事が予想される。
なので、その時はこの記事に追記するか、別の記事でもう一度書くかする予定。
「大半の人は興味がないだろう」。
しかしながら、自分が乗ったバイクの記録媒体としてはこのブログが最適なので「興味ないのが分かってるけど書く」。
申し訳ないのですが、お付き合い下さいませ。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。